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painful things and delightful things

すっかりご無沙汰してしまいましたが
皆様お元気でいらっしゃいますか。
私は7日にパリに戻った後、随分沢山のことがありました。
ものすごく長い話になりますので
お時間おありの方はお付き合いくださいませ。
パリに戻って早々、いつもお世話になっているアルメニア教会の
演奏会主催者から電話があり
3日後に代役で弾いて貰えないかとのことでした。
突然でしたがヴァイオリンのデュオも取り入れた演奏会を
11日に演奏させて頂きました。
1月11日
曲目
 バッハ=ラフマニノフ:ヴァイオリン・パルティータ ホ長調よりプレリュード、ジーグ
 ボルトキエヴィッチ:10のプレリュード作品33より第7番、第9番、第10番
 プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番作品83
 バルトーク:ルーマニア舞曲 (ピアノとヴァイオリン用に編曲したもの)
 ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
ピアノ: 上野 優子
ヴァイオリン: 小形 真奈美
実はバッハ=ラフマニノフの作品は今年3日から始めたばかりで
こんなに急に舞台で弾くことになるとは思いませんでした。
また、この頃のパリは最低気温はマイナス8度~10度という厳しい寒さでしたが
教会の暖房が古くて騒音が出るという理由で演奏中は暖房を切っていたため
演奏会の最初から終演までずっと手が冷えてしまって大変でした。
なかなかないシチュエーションでの演奏会でしたが、
そのお陰でとても良い経験が出来たかなあと思います。
アンコールにドビュッシー:美しき夕暮れ を演奏させて頂きました。
1月15日
室内楽のレッスンとコルトーホールでの弾き合い
1月19日
19時半から家のドアをものすごい音で叩いたり、
ブザーを激しく何度も押される。
ピアノの音に対する上の階の住人からの過去最大のクレーム。
余りに激しいので20時に終了する。すごい剣幕で怖いので対応はせず、
後にアパートの入口のドアに張り紙をして、演奏会がある旨告げる。
1月20日
コルトーホールにて演奏会を開催させて頂きました。
昨年4月にエコールノルマル音楽院ピアノ科コンサーティスト課程の
ディプロマを取得したことを受けての演奏会でしたが
日本で発売になったCDを販売しても良いと担当の方がおっしゃってくださり
友人に会場販売を手伝ってもらったところ
聴いて下さった方々に興味を持って頂き、
こんな見ず知らずのアジア人のCDを多くの方にご購入頂き感激しました。
演奏させて頂いた曲目は下記の通りです。
 バッハ=ラフマニノフ:ヴァイオリン・パルティータ ホ長調よりプレリュード、ジーグ
 ラフマニノフ:音の絵 作品39-6
 ボルトキエヴィッチ:10のプレリュード作品33より第1番、第2番、第3番、第4番、第7番、第9番、第10番
 プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番作品83
アンコールにバッハ=ジロティ:プレリュード、ドビュッシー:月の光、
そしてヒナステラ:ピアノソナタ第1番より終楽章を演奏させて頂きました。
想像していたよりも遥かに多くの方に温かく見守って頂き
その様な雰囲気の中、国の重要文化財にも指定されているホールで
演奏させて頂けたことを本当に嬉しく思い
感謝の気持ちでいっぱいになりました。
performance at Salle Cortot1performance at Salle Cortot2selling CD at the deskwith my friends at Salle Cortot
その日の夜はリビツキー先生主宰のAnimatoという団体の演奏会があり
イタリア人のフェデリーコ・コッリくんと
日本人の北村朋幹くんが出演しました。
終演後にリビツキー先生に招待して頂き出演者とその家族、
運営スタッフの方々と夕食をしたのですが
日本語、イタリア語、フランス語、英語を使い分ければならず
結構頭を使いました。。(^^;
でもとても楽しい一夜となりました。
1月21日
トラブル発生。。
日本の方には馴染みが薄いかと思いますが
我が家のアパートはお湯がタンク式で、
タンクのお湯がなくなってしまうとお湯の栓をひねっても水しかでません。
そのタンクが壊れてしまい、普段なら水からお湯になるまでに
5時間半かかるのがいつまでたっても水のまま。。
慌てて大家さんに電話をしたのですが勤務中なのか返答なく、
携帯メールを送っても返信なし。
数日後にはまたアルメニア教会での演奏会が控えていたのと連日の寒さ、
そして丁度母がパリに来ていたので何としても早急に修理をと思い、
よくポストに入っている広告の緊急修理工に電話をしたら
1時間後に来てまず修理費がどれ位になるか言われました。
また、その費用を大家と借りている人とどちらが払うか尋ねられましたが
その時も大家と連絡がつかず、
ひとまず手付金を払わないとお湯のタンクの状態を見ないと言われ
急いでいた私は払ってしまいました。。
その後タンクを見てもらうと古すぎてタンクを取り換えないといけないと言われ
費用をどちらが払うか決まったら連絡を下さい、とのことでした。
それで大家にその旨携帯の方にメールをして、
「費用を支払って頂いても良いでしょうか」と聞くと
大家からの返信はたった一言「Non」。
大家が部屋の設備の問題で支払いを拒否するとは思っていなかったので
ここから戦いが始まりました。。
私が「それはありえない。あなたは払う義務がある」と返信すると
今度は大家から電話がかかってきました。
大家「あなたが呼んだ修理工は高すぎるから払わない。
自分の知り合いの修理工なら私が支払う」
フランスの修理事情はかなりひどく、そもそもまず予約を入れても
その日にちゃんと修理工が来ることはまずありません。
何か問題が起きてから解決するまでに大体2週間かかります。
私が呼んだ修理工は高いけれど、予約の時間に確実に来るので
その方が早くお湯が出ると思ったのですが。。
修理工に大家が了承しないので依頼出来なくなったと伝え
手付金の一部の返却を求めましたが拒否されてしまいました。
でも大家側の修理工に依頼しない限り、私が全額負担になってしまうので
仕方がないので大家側の修理工に頼むことにしました。
1月22日
室内楽のレッスン。
母をレッスンに連れて行くとマルティニー先生が「あらお友達?」
いえいえ母ですと紹介すると
「あらやだ!本当に?!」と先生は目を丸くしていました。
アジア人は若く見られるので社交辞令のような感じで
「お母さんなの?お友達だと思った」と言われることはありますが
本気で友達だと思った先生のびっくりした表情はとても面白かったです。
毎週木曜日はデパートが夜22時まで営業しているので
一度練習に家に帰った後、夜はデパートでショッピングをしました。
1月23日
午前中の最後に大家側の修理工が来るとのことでしたが
午前中はおろか、午後になっても来ません。
やっぱり・・・と思いながら大家に携帯メールをすると
修理工から電話がかかってきました。
修理工「ごめんなさい!緊急の仕事が多くて今日は行けないので
来週の月曜の午後来ます」
私「日曜日に演奏会なのでその前にという約束でしたが?」
修理工「あ!じゃあ明日土曜日の午前中の最後に来ます」
本当に来るのかなあと思いつつ電話を切りましたが、
かなり感じの良いおじさんの声に少し安心しました。
1月24日
やっぱり修理工のおじさんは来ません。。
大家に携帯メッセージでその旨送ると修理工の電話番号を送ってきました。
修理工に電話したり、留守電メッセージを入れたり、
携帯メールを送ったりしていましたが
そのうち電波が届かないところに行ったのか、電源を切ったのか、
つながらなくなってしまいました。
焦って怒った私は大家に「演奏会前日にこんなのありえません。
あなたの修理工は携帯もつながらない」と電話すると
大家は「演奏会なんて自分には関係ない!」と怒って
一方的に電話を切られてしまいました。
話の途中で切れてしまったのでかけ直すと今度は電話に出ません。
留守電にもメッセージを入れたり、何度もかけ直していると
今度は着信拒否されてしまいました。
これが大家のすることなんでしょうか。。
それで今度は大家側の修理工に再び電話をしたり、
携帯メールを送ったりしました。
しばらくしたら大家の携帯にもメール出来るようになり、
メールでのやりとりをしたのですがかなり険悪なものでした。
大家「言葉の暴力(ハラスメント)はフランスの法律では罰することが出来る」
私「それはあなたです。私は生活するのが困難になっているだけで、
あなたは弱い者いじめをしている」
この最後の一文を送信すると同時に家のブザーが鳴って
大家側の修理工がなんと来てくれました!
大家から言われた「言葉の暴力・・・」の一文が結構ショックだった私は
修理工の姿を見た瞬間に涙が溢れてしまい、
修理工のおじさんはとてもびっくりしていました。当然ですよね。。。
おじさんはとても感じが良くて「僕が来たからもう大丈夫だよ。
心配しないで。早く直そう」と言ってくれました。
問題のタンクはかなり古いらしく、
もう同じ型は製造されてないとのこと。
今日中には直せないから月曜に新しいタンクを探して
やってみようと言われました。
幸いタンクがまだ完全には壊れていなかったようで、
24時間待つと温かいお湯が出ることが分かったので
母がパリを離れてからの方が良いかなあと思い
28日にタンクを取り換えることになりました。
おかしかったのが28日に一緒に作業する人に電話しているおじさんの話の中で
「28日に必ず来てね。彼女はとてもデリケートだから絶対ね」
と言っていたこと。
それにしてもこれだけ念を押さないと
予約の時間に来れない人種なのかとびっくりしました。
1月25日
アルメニア教会での演奏会。
曲目は20日のコルトーホールの時と同じで、
アンコールはバッハ=ジロティ:プレリュードと
ヒナステラ:ピアノソナタ第1番より終楽章を演奏させて頂きました。
この日は全体的に和声を自分でもひとつひとつ感じながら
演奏出来たかなと思います。
Armenian Churchat Armenian Church with may friends
会場の気温も11日の時よりは温かくて指もしっかりまわりました。笑。
終演後、アルメニア教会のある地区はマレ地区といって、
セレクトショップやお洒落なお店が立ち並ぶところで
日曜日も営業している店が多いのであちこち寄り道しながら
セーヌ川に浮かぶサンルイ島のお気に入りのレストランへ。
母と乾杯してお腹一杯、楽しい食事となりました。
1月26日
お昼にベルギー発ムール貝のお店「レオン」へ行き、
14時に滞在許可証を無事受理して、バカラ美術館へ行きました。
丁度パリコレ開催の時期で、夜にショーがあるとかでその準備をしていて
幸運にも入場料を徴収されずに見ることが出来ました。
豪華絢爛な輝きを放っているシャンデリアが素敵でした。
chandelier at Baccarat Museum
その後、サント・シャペル教会へ行き、
見事なステンドグラスにしばし見とれました。
現代の輝きも素晴らしいけれど、
何世紀も前に深い意味合いと美とを融合した大きな建造物を
創り上げるって本当にすごいことだなと実感しました。
conciergerie and tour eiffelSte-Chapelle church1Ste-Chapelle church2
1月27日
ロダン美術館へ。
オーディオガイドを借りて館内を回ったのですが、
これがより作品を理解出来てとても良かったです。
庭園にある地獄の門の迫力は凄まじく、
また作品を作った年代が私が今勉強しているラフマニノフなどと同時代のものも多く
国は違うものの、多くのインスピレーションを得ることが出来ました。
庭園がとても綺麗だと聞いていたので、
今度は春にまた訪れたいと思いました。
Rodin museum Le PenseurRodin museum La porte d'enfer
モンパルナスのクレープやさんが並ぶ通りへ向かい、
「ジョスラン」でそば粉のクレープ「ガレット」と
りんごの発泡酒「シードル」を頂く。
その後、サン・シュルピス教会へ。
中へ入ると世界最大ともいわれる大きなパイプオルガンと、
ドラクロワが手がけた壁画があり
非常に趣のある壮大な教会でした。
ただ不思議なもので、雰囲気がイタリアの様な感じがしました。
勿論装飾の細部はフランスらしいお洒落なものなのですが。。
pipe organ at St-Sulpice church
その後ホテル・ルテシアのサロン・ド・テでお茶をして、
生徒のレッスンに向かいました。
cakes of Salon de the at Hotel LutetiaHotel Lutetia
夜12時頃、アパートの玄関、入口などのドアというドアを
乱暴に開け閉めする音がした後
私の家のブザー(呼び鈴)が長い時間鳴らされる。
そして階段をすごい勢いで上がり下がりする足音。
上の階の住人が酔っ払った感じで騒いでいる。
怖いのでそっとしておく。
1月28日
朝、母が日本へ出発。賑やかだったのがちょっと寂しくなりました。
そして午後、やっぱり来る時間は遅くなりましたが
修理工が2人で新しいタンクを持って来てくれました。
ところが洗面所のスペースが狭いので設置に時間がかかり、
壁に穴を空けるなど大規模なものとなり
6時間以上かかってやっと21時過ぎに終了。
作業中に上の階の住人が苦情を言いに来るも交渉出来ず、
一方的に土日は弾くなと言われる。
その時別の階の住人が通りがかって
「でもあなたのとこの犬はうるさいし、
あなたはドアの開け閉めの音がうるさいので起こされて迷惑だ」
と言ってくれて今度は彼らでバトル勃発。
更に別問題。大家から書留で家賃の値上げを宣告する手紙が届く。
一気に月205ユーロの値上げ。
明らかにタンクの修理費を徴収しようとしていると感じ、
友人に相談を始める。
1月29日
フランス、ゼネラル・ストライキ。交通関係のダイヤが大幅に乱れる。
郊外線は大変だったようですが、意外と地下鉄・バスは動いていました。
この日はタンクから水漏れを発見。
でも大家に言うと更に問題が増えそうなのでもう言わないことにする。
室内楽の合わせ、レッスン後に
在仏日本人会へ大家の件の相談のため向かう。
ここに入会すると年会費分だけで弁護士に無料相談出来る日があります。
予約を入れた後、ラデュレでお茶。
期間限定のチョコレートを使ったケーキがとても美味しかったです。
1月30日
なぜかお湯が出なくなる。
タンクのスイッチが自動・強とあって、
修理工のおじさんからは「最初の2時間は強にして、
あとは電気代も高くなるから自動にして」と言われたので自動に切り替えたが
どうも自動だとお湯にならない。
そしてお湯が出ないと水漏れがなくなるという不思議な事態。
その後2時間「強」のスイッチにするとお湯が出るが、
今度は熱すぎる。そして白濁している。
とにかく使えなくなるまでは現状維持で行こうと決心する。
そして沢山の友人・知人に手伝って貰って大家への手紙を書留で送る。
この国の法律を盾にしたやり取りはすさまじいものがあると実感しています。
かなり細かいことも調べなければならず、
そしてそれが必ずしも正当性があるわけでもなく
これから暫く大家との戦いがあると思うともううんざりです。。
イタリアは田舎だったこともありますが
紙のやり取りはほとんどなくて、家賃の値上げも口頭でした。
お国柄ってこういうところで出るんだなあと思いました。
勿論人柄にもよると思いますが。
私の大家は保険会社に勤めているので
いわばそういう問題のスペシャリスト。
かなりの強敵ですが、なんとか交渉できたらと思っています。
夜はニコラ・アンゲリッチ氏の演奏会を聴きに行きましたが
私の精神状態が余り良くなく、
後半のプログラムが大曲、リストのソナタだったので
ちょっと耐えられそうにないと思い、前半だけ聴いて帰宅してしまいました。
良いニュースもありました。
ぶらあぼ2月号には1ページ、
レッスンの友2月号には巻頭カラー写真と4ページの記事が掲載され、
レコード芸術2月号では12月に発売させて頂いたCDが準推薦盤に選ばれ、
ありがたい批評を頂きました。
レコード芸術2月号の記事を知人より送って頂いたので
ここにご紹介させて頂きます。
article of my CD
明日からはもう2月ですね。
今月は色々な事が起こりすぎてメールのお返事なども滞ったままです。
しばしお待ち頂けましたら嬉しいです。
また、フランス在住のお湯がタンク式で何か事情をご存知の方、
そして大家と家賃の問題などで何かご存知の方がいらっしゃいましたら
何かアドバイスを頂けたら嬉しいです。助かります。
どうぞ宜しくお願いいたします。
最後は自分にもこのブログをご覧下さった皆様にも癒しの1枚を。。。
1月で4歳になったティアラです。
母がお土産にとパリで買ったイルカのぬいぐるみを抱きしめております。
Tiara became 4 years old..

Written by yuko 2009.01.31 11:27 | No Comments

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