音楽
昨日はイモラのテアトロ(劇場)で五嶋みどりさん(Vn)とロバート・マクドナルド(Pf)氏の
デュオコンサートがありました。
プログラムは以下の通り。
ヒンデミット:ソナタ第3番
ブラームス:ソナタ第1番
~休憩~
J.S.バッハ:ソナタ第2番
サン=サーンス:ソナタ第1番
アンコールはエンゲルという20世紀のアメリカの作曲家の「貝殻」とカンパネラの2曲でした。
実は彼女の演奏を聴くのはこれが初めてでした。
幼少の頃からアメリカで暮らしているにも関わらず、非常に東洋的な演奏で驚きました。
非常に集中力があり、弱音にとても気を遣った演奏で素晴らしかったです。
ピアノとも息がぴったりで、マクドナルド氏の音はとても温かく、
お二人とも慈愛に満ちた演奏で、心が洗われる様な感覚を覚えました。
また終演後に楽屋に行ったのですが、お二人とも謙虚な方で
みどりさんは舞台では大きく感じたのですが、細くて小さな姿にびっくりしました。
さて、実家から日本のTV番組を録画したビデオが届きました。
その中にNHKで放送された「死の国の旋律~アウシュビッツと音楽家達」という番組がありました。
アウシュビッツ強制収容所には囚人で構成された楽団があり
囚人を迎えるときやガス室送りのカムフラージュ、ナチス党員向けの音楽を演奏する事で
見返りとしてガス室送りを免れていたそうです。
その楽団員の告白ドキュメンタリーだったのですがただただ驚きました。
人間はここまで残酷になれるのかと怖くなりました。
その元楽団員の女性は解放後、演奏する事も音楽を聴く事も出来なくなってしまったのです。
音楽を聴くと当時の記憶がよみがえって失神してしまったそうです。
音楽が凶器になるなんて。。。
番組の最後にその元楽団員の語った「アウシュビッツは今も「人間よ、考えよ」と語りかけている」
という言葉がとても印象的でした。
私たちは余りにも幸せな時代に生きているのだと思います。
しかし一方で常にどこかで戦争は起こり、人は死んで。
これ以上何を望んで争うのでしょう。
人間の欲望は時に狂気に変わって行く。
完璧な人間なんてこの世にいないと私は思うので
自分にもそういう心がきっとどこかにはあるのだと思うと怖いです。